2008年6月21日(土)

朝、アパートのドアを叩くような音がした気がして目が覚める。
しばらくすると、またやっぱり誰かがドアをノックしている音がする。
実はこの辺り、隣のAve.Dには行っちゃダメって言われてる、安全圏のギリギリボーダーライン。
窓に格子のある地域はそれなりにキケンって誰かに教わったけど、しっかり格子ついてます。
雰囲気はどっちかっていうとハーレムに近くて、英語よりもスペイン語をまくしたててる人のほうが多い、そんな場所。
先日発砲事件があったばかりだし、怖いので、たとえ訪問者だったとしても居留守に限る。
が、音の主は諦める様子もなく、次第に音が大きくなってきて、明らかに怒っている音に。
「ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!!」 こりゃ尋常じゃない。しかも、繰り返し何度も。
どうしても開けて欲しいってことは、住人の中で、うっかり鍵をもたずに外に出て締め出されてしまった人がいるとか?

とりあえず人数を確認しようかと思い部屋のドアを開けると、隣の部屋の人達が不安そうな顔で玄関の前に全員集合していた。 そりゃみんな起きちゃいますよね。。。
のぞき窓からのぞいて、知らない男の人と警察官がドアの外にいる、とのこと。
近所の住民が警察に通報してくれたらしい。外で2人が何かしゃべっている。
そしてドアの内側には事態を予言するかのような、「今日誰かドアをノックしに来ても、絶対に開けないでください」の張り紙。

「警察いるし、開けてみる?」と男性1人が恐る恐るドアを開けた。
話を聞くと、どうやらこのドミトリーの管理人さんの友達だと言い張り、彼女を訪ねてきたと言ってるらしい。
私達は全員その男と面識がないことを伝え、訪ねてきた人はたしかに実在するけど今ここにはいない、ということを告げた。
警察官にうながされて、男はやっと諦めて立ち去ってくれた。
後でわかったのだけど、どうやら管理人さんの彼氏で、別れ話のもつれから追いかけて訪ねてきたらしい。
それにしてもねぇ。。。コワ。
管理人さんは地下のほうの部屋に隠れてた後、裏の窓から脱出したとか。どうぞご無事で。

今日は午前中に洗濯を済ませようという予定。
前回の時はアパートの地下にコインランドリーがあったけど、今回は近所のコインランドリーを利用しなきゃいけない。
もちろん、一番近くのコインランドリーは事件現場なので、ちょっと遠いけど2ブロック先を利用。
そこは店員さんが常駐してるし、両替もしてくれて便利だということで。
個人的にはコインランドリー初体験だったので、どうやって使うのか、いくらくらいかかるのか、時間はどのくらいかかるか、、、要領を得ないまま、とりあえず空いてる洗濯機に洗濯物を放り込む。
英語+図を解読しながら四苦八苦、なんとか洗濯機が回り始めました。日本の家庭用とは全く違う仕様なので、果して使い方があってるのか不安でしたが。
後で落ち着いて周りを見てみると、私が使った洗濯機は大容量のもので$4.75。
反対側の列は少量用で$2。なんだ、こっちで充分だったのに。。。
小さいほうのは機械のてっぺんが自分の視界に入るので気がついたんですが、洗剤や柔軟剤を入れるところが上にあった。洗濯物と同時に、とりあえず粉洗剤だけを入れちゃってました。
慌てて柔軟剤を上から追加。見えないし届かないので近くの椅子を持ってきて、乗っかってやりました。子供か。。。?
結局、全部で1時間半くらいかかったかな。洗うほうに無駄な出費してしまったので、乾燥時間短くしたら、生乾きになっちゃったけど。。。
次回は失敗しないようにしよう。

さて今日は、16時からニュージャージーのホーボーケンにあるScotland Yard Barというところで、ジャムセッションがあるので行くことに。
土曜日だからか、駅に向かう道中、ダウンタウンならではと思えるおもしろい光景をみました。
Ave.Aだったか1Ave.だったかを、スケボーに乗った子供達が次から次へと駆け抜けて行きました。車の間に紛れて。
いくらアメリカとはいえ、結構危ない&迷惑行為なんだろうと思いますが、道行く人達は唖然として見てるか笑ってる程度。どこまで自由なんだか。
しかもかなりの人数続いてました。スケボー暴走族?スケボーデモンストレーション?そんな感じでした。
旅行者目線では、いいもの見ちゃった、って思いましたが。写真撮ればよかったなぁ。

目的地のホーボーケンは、34St.-Penn Stationで乗り換えて1駅ということは知っていたんだけど、何に乗り換えるのかよくわかっておらず、持ってたガイドブックや地図のたぐいもマンハッタン内で情報が終わってるので、まぁ行けばなんとかなるだろうとたかをくくっていました。
んでもってその前にちょっとソーホーで寄り道。
34St.-Penn Stationに着いたのはもう16時近かったんだけど、ちょっと遅れるくらいだと思ってました。
・・・が。
ニュージャージーへ行くのはNJトランジットかアムトラックだとばかり思っていたし、あまりに駅が大きくて、全く情報がつかめない。だいたい、建物の様子が日本とは全然違うので、どれがどこの切符売場か、どこに乗り場があるかすら勘が働かないし。電車の発着案内見ても、行き先の種類が多すぎて、どれに乗ればいいのかも見当つかず。

やっと案内窓口らしきところでホーボーケンに行きたい旨を伝えると、係の人が面倒くさそうに「33St. 6Ave.」とだけ教えてくれた。
地下鉄構内には『7Ave』『8Ave』の案内表示が上にあったので、これの『6Ave』の表示をみつければいいんだとばかり思い、かなりぐるぐる回ったけどみつからず。
仕方なくまた別の人(お巡りさんが教壇みたいなところにずっと立ってる)に聞いてみた。
なんか、道順を教えてくれて、どうやら上から行けみたいな感じだったんだけど、よく聞き取れず。だいたい想像つかないことを聞いてるんだから何を言われたかのかよくわかってない。
とりあえず地上に出てから駅の入口らしきものを探そうと、言われた方向に歩いて、地上に出て、またぐるぐる回って、、、結局地下に入ったらさっきと同じところに出た。
もう17時回ってるし、行くのやめちゃおうかな。
くじけそうになりましたが、巡回中のお巡りさんがいたので、もう一度チャレンジ。
そしたら、「ここじゃなくてパストレイン」ってことを教えてくれて、やっと納得がいった。
いくら探したって目的地に近づかないわけだ。
教えてくれた情報全部集めたら、自分が地上に出て、『33St. 6Ave.』にあるはずの、パストレイン乗り場を目指せばいいことを理解。

再び地上に出て、な〜んだって感じでパストレイン乗り場の入口を発見。
最初からパストレインって別の乗り物があることを知ってれば、こんな苦労はしなかったはず。
で、一刻も早く電車に乗りたかったのですが、、、次なる難関。
メトロカードマークが改札についてるから、これで通れると思ったのに、通れない。
“なぜ”がわからないから、しばし立ち往生。
せっかくここまで来てるのに。ホームはすぐそこ、目の前から電車が発車して行く。
途方に暮れつつも、とりあえず、券売機で新たに買うしかないと思い、列に並ぶ。
が、どれを買ったらいいのか、メトロカードの券売機とも微妙に違うし、よくわからず。しかも、入れようとしたお札が古くて、吸い込んでくれなかった。
その場は諦め、、、でも、ここまで来たからには絶対行ってやる〜と思い、一か八かもう一台あった別の券売機に並ぶ。
どうやら、往復とかじゃなくて、$1.75の1回きりの乗車券を買えばいいことがわかり、やっと購入にこぎつける。
多分ここで20〜30分くらい、さらにロスしてた気がします。電車3、4本見送ったんじゃないかな。

そしてHoboken駅に到着した時は18時頃でした。
まぁそれでもあと1時間はあるんだからいいか。。。
通り名を見ながらScotland Yard Barを探す。今度は駅から近いし、すぐみつかりました。
お店に入ると、1人の男性が声をかけてきてくれました。
「それは何?ドラムのスティック?」「演奏する?」「どこから来たの?」「名前は?」等々、いろいろ聞かれて。どうも、創価学会の人らしく、日本びいきでとっても親切にしてくれました。
で、ベーシストのその人は(Paulさんといいます)、自分の番が回ってきた時に私も呼んでくれました。
ギターボーカルの人と、もう1人ギター、ドラム、ベースの人達の中に混ぜてもらうことに。
何やるの?ってPaulさんに聞くと、「わかんないけど、彼(ギターボーカルの人)が決めると思うよ」って教えてくれた。
決して広くはない店内に、リスナーが20人以上はいるだろうな、って感じでしたが、ピアニカ用にマイクが立てられてる間、皆ものすごい興味津々なのがひしひしと伝わってきました。
女性でアジア人で、見慣れない楽器。
でも決して冷ややかな視線ではなく、驚きや期待の視線。
ホストらしき人が「Kumiko, from Japan」って紹介してくれました。そして、日本語知ってるとばかりに「かわいい」を連発。 私は逆に英語で「Thank you」。
ギターの人からkeyだけ指示されて、知らないブルースを3曲やりました。最後の1曲はちょっと変形パターンだったな。
そのギターボーカルの人、超上手かった。泣きのフレーズが次々と。渋くてカッコよかった〜。
ドラムの人もごきげんな感じで、ソロの途中盛り上がるところとか合わせてきてくれて、ウインクされてしまった。(^^;)
お客さんも大盛り上がり。とっても楽しかったです。

演奏終わってから、お店の奥のほうで立って聴いてたんですが、トイレに行く人が私の前を通過する度にみんな声かけてくれて。
とくに女性のお客さんから声かけてもらうのって、嬉しいですね。
中には、日本語でコミュニケーション取りたいらしい男性が他にもいて、一生懸命言葉を考えるんだけど、出てきたことばが「ナマステ〜」。それってインドじゃ?
次に出てきたのが、「ニンテンドー」。あまりに脈絡のない日本語が飛び出してきたのがおかしくて、「任天堂!」って爆笑したら、「よっしゃ!」って感じのポーズして、満足気に去って行った。
こっちの人って、ほんとにフレンドリー。あまりに皆よくしてくれるので、そばにいたPaulさんに、「皆親切で嬉しい」って言うと、「君の演奏がよかったからだよ」って言ってくれる。 ほんと、来れてよかった。苦労しても諦めずに来た甲斐がありました。
Paulさんも私を気に入ってくれたらしく、飲み物をおごってもらっちゃいました。
が、「ソフトドリンク」って言ったらお店の人に「コーラ?ジンジャーエール?」と聞かれ、炭酸苦手な私はなんて言ったら通じるんだろうと考えていたので、 お店の人が「ソーダがダメなの?」って言ったと勘違いして「Yes」って言うと、私の次の言葉を待たずにそのままソーダ水が出てきた。。。仕方ない。
それにしてもこっちのソーダ水ってこんなマズイんだ。。。
まだジンジャーエールのほうがよかったかな?おごってもらったんだから、そんなこと口にも顔にも出せませんが。

セッションは結局19時半くらいまででした。演奏したのはその3曲のみでしたが、充分満足。
Paulさんに食事に誘っていただいたんですが、来た時のことを考えて、電車が何時くらいまであるかわからないし、マンハッタンに帰れなくなると困るので、丁重にお断りする。 っていうか、ここに来る前1時間半迷子になったって話してたので、「帰れるかどうか不安」って言うとわかってくれたみたいです。
それでもPaulさんは何かしてあげたいって気持ちらしく、お店のTシャツを買ってプレゼントしてくれました。(;_;)
ほんと、なんて言って感謝と喜びを伝えたらいいのか。。。「Thank you very much」を繰り返すしかない私の乏しい英語では、伝えきれませんでしたよ。
他のミュージシャンの人達にも、帰り際、「月曜日は来る?」とか「来週も来る?」とか聞かれたんですが、、、他の予定あるし、日曜には帰るので来れないことを伝える。
そしたら、その中の1人のギタリストが(一緒に演奏した人とは別の人)、火曜日のKenny's Castawaysの話を持ち出してきて、そこでまた会えるねってことになり。
ともさんの名前出すと知ってたので、一気に親近感が。友達の輪、大事です。
ショーンさん。覚えておこう。

それにしても、後で気がついたんですが、今日はすべてに必死で、すっかり“写真を撮る”なんて視点を忘れてました。
まぁ、お店の中ではかなり後ろのほうで見えてなかったので仕方ないにしても、お店の外観だとか、ショーンさん達としゃべってる時に誰かにお願いして一緒に写真撮ってもらうだとか、、、ものすごい後悔。
とはいえ、今日1日でいろんなことを学んだので、目に見えるものは残せなくても心の中に蓄積されたものはいっぱいです。
Never give upということ。
音楽はハートで伝わるということ。
決して皆、私が技術的にすぐれてるとかそういうことを感じたのでも褒めたのでもないのはわかっています。
日本から1人でやってきた根性、そして何よりも楽しんでプレイしていること。
まぁ、ちょっとくらいは時々「おっ!」ってフレーズ出てこないと相手にしてもらえないとは思いますが、それは二の次。
日本でも、こんなふうにセッションを楽しめるようになったらいいのにな。ついつい他人と比べて落ち込んで、、、ちょっと反省。
上手くなるためには必要な過程ですけどね。

さて、帰りは殊の外スムーズでした。(^^;)
しかも、34St.-Penn Stationじゃなくても14St.駅でF・Vラインに乗り換えられることがわかり。
そこから最寄り駅までは3つです。こんなに近いのに。なんだったんだろう。。。

充実感いっぱいで気持ちが大きくなっていたこともあり、E.3St.沿いにあるいつもニンニクとトマトのいい匂いがしている“イタリアのママの味”っぽいお店がずっと気になってたので、今日こそそこで食事でもしちゃおうかな、と立ち寄る。
レストランだとばかり思っていたら、イートインもできるけど、お惣菜を売るお店でした。
入っちゃったらちょっと出れない感じだったので、オーダーする。
ガラスケースごしに何種類ものおかずが並べてあって(日本で言うならRf1とかそんな感じ?)、でも、匂いがとってもおいしそうだったわりには、見た目そうでもない。。。
どうも3種類選べって言ってるらしく、マカロニグラタンと、トマトサラダと、なんかよくわかんないけど揚げ物(手羽先かと思ってたら、ニンジンとか野菜でした)をチョイス。
すると、おおきなアルミホイルの入れ物に、その3種類をこれでもか、というくらいてんこもり。これで$9.75。高い。。。
こんなに誰が食べるんじゃ。あまりにすごいなと思ったので撮った写真がコレ。(わかりづらいですが、直系20cm以上はあったと思います。)
3〜4食にわけて食べて、それでも最後飽きちゃって、ちょこっと捨ててしまいました。。。
今日撮った写真がコレ1枚だけって、、、他に撮っておくべきものがたくさんあったのに。

それにしても、今日は天国から地獄まで、って感じの1日でした。
苦労の後の喜びはひとしお、喜びの後のガッカリもまたひとしおです(笑)。
あ、ちなみに管理人さんは無事です。ご安心を。
そして、本日女子部屋のお仲間が1人増えました。
明日はどんな1日が待っていることやら。